デジタルメディア研究所研究員・東大法学部卒業後、都庁勤務などを経てIT関係のライター、翻訳者。著書に「データベース・電子図書館の検索・活用法」(東洋経済新報社・下中直人、市川昌弘と共著)、「 ソーシャル・ウェブ入門入門 Google, mixi, ブログ…新しいWeb世界の歩き方」(技術評論社)など。個人のブログはSocial Web Rambling

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2008年02月12日

デジタルvsアナログ―どちらがより「自然」?

「どうもデジタルはさっぱりで」とか「近頃はデジタル時代だから」などと日常使われる場合の「デジタル」というのは「コンピュータ」とほぼ同義のようだ。「やっぱりアナログはうるおいがあって自然でいいね」というときの「アナログ」は逆に「非コンピュータ的」を意味している。

しかし、デジタル情報はコンピュータ化のための不自然なテクノロジーだが、アナログ情報は人間本来の機能に根ざした自然さなもの、というような分類が本当にそうなのか、考えてみる必要がある。

大脳生理学的にいえば動物の神経系の情報伝達はパルスの数で刺激の強さを表現しているのだから完全にデジタルなシステムだ。人間の網膜も独立した感光性細胞の集合だから全体としてデジタルビデオシステムである。

そういった生理学的レベルを別にしても、デジタルという言葉自体に重要なヒントが隠されていると思う。

英語でdigitalはdigitの形容詞だ。digitとはもともとラテン語のdigitus=指の意味である。インド・ヨーロッパ語根のdeik=指にまでさかのぼる古い言葉だ。指はフランス語ではドワ、イタリア語ではディト、ギリシャ語ではダクテュロスという。すべて語頭にd音が来るのは偶然ではない。ちなみに英語とドイツ語で指のことをfingerというのはインド・ヨーロッパ語根のpenkwe=5から来ている。(アメリカ国防総省をペンタゴンというのは五角形という意味)。

「指」→「指折り数える」→「数」となったわけだ。

そう、デジタルというのは根源的には「いち、にー、さん、よん…」と指折り数えることなのだ。

080212_finger_fusion_anat02.jpg

(この項つづく)

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