デジタルメディア研究所研究員・東大法学部卒業後、都庁勤務などを経てIT関係のライター、翻訳者。著書に「データベース・電子図書館の検索・活用法」(東洋経済新報社・下中直人、市川昌弘と共著)、「 ソーシャル・ウェブ入門入門 Google, mixi, ブログ…新しいWeb世界の歩き方」(技術評論社)など。個人のブログはSocial Web Rambling

rssフィード
Movable Type 3.2-ja-2

2007年10月28日

マイリー・サイラス Miley Cyrus の YouTube 再生回数は2千万回以上

今アメリカでいちばんチケットが手に入らないコンサートは「ハンナ・モンタナ」ことマイリー・サイラス(Miley Cyrus)のツアーだそうだ。ダフ屋の売値は最高2500ドルとか。マイリー・サイラスは現在14歳。ディズニーの小中学生の女の子向けコメディー「シークレット・アイドル・ハンナ・モンタナ」(テレ東・金・17:30〜18:00)で主役のティーンのロックスター「ハンナ・モンタナ」を演じて去年大ブレークした。

「ハンナ・モンタナ現象」についてはLong Tail Worldのハンナ・モンタナ株価指数に詳しい。下のビデオはデビュー曲 Nobody's Perfect (収録アルバムは初登場1位)。再生回数なんと370万回。Miley CyrusでYouTubeを検索すると再生回数200万回を越すクリップがずらりと並ぶ。ざっと見ただけでもトータル再生2千万回を軽く超えている。

投稿以来1年以上たつクリップも削除されていないのが面白い。投稿者はディズニーでもオフィシャルサイトでもない。バイラル・プロモーションに役立つと思えば見ないフリをするのが大人の知恵。

アメリカではユーザー生成タイプを含めて歌詞サイトがたくさんある。最近はカラオケ用スクロール版をエンベッドできるようにしているサイトもあるので、サンプルを掲載しておいた。マウスを画面中央に置くとスクロールが止まり、左上隅の↑矢印と右上隅の↓矢印でスクロールを加速できる。

しかし2千万回というのはなかなかすごい回数だ。映画、テレビ、レコードレーベルとった旧メディア側は団結してYouTubeに対抗しようとしているが、口先攻撃と法廷闘争以外に見るべき成果を上げていないようだ。

Miley Cyrus ("Hannna Montana") Nobody's Perfect


Nobody's Perfect カラオケ用スクロール歌詞


Hannah Montana Lyrics
Nobody's Perfect Lyrics

2007年10月24日

ブリュメール18日

参院選での自民の大敗は典型的な改革に対する反動で、簡単に言えば「ブリュメール18日」だ。ありとあらゆる「古い名前、古い法律、古い捕り手」が復活して時ならぬ「金権バラマキ政治」という亡霊の盆踊りを狂ったように踊っている。しかしオリジナルの田中角栄はある種のナポレオンだったが、小沢一郎はナポレオン3世の陽気なパフォーマンスもなく、喜劇にもならない。しかしこれも「55年体制」の残滓が最終的に破綻して一掃されるために必要な歴史の必然としての踊り場なのであろう。

Gmailが500MBを超えていた

ふと気付くとGmailの使用容量が500MBを超えていた。動画などの大きなファイルはほとんど添付してないから、ほとんどがテキスト情報のはずだ。麻生"ローゼン"閣下のお好きなフロッピーに換算すると500枚である。

10年前の日本だったら、1年半で送信・受信合わせて500MBのコミュニケーションというのは企業でも珍しかったかもしれない。まして個人ではとうてい考えられないレベルだ。マルクス(エンゲルスだったか?)ではないが、ある時点で量は質に転化する。コンビニの前でたむろしている中学生でも携帯で送受信する文字量はかなりのものになるはず。

近々「マスコミ」とは不特定多数のマス発信のことを指すようになっていくだろう。

2007年10月21日

RSSリーダーをGoogleに乗り換える

RSSリーダーは今まで惰性でBloglinesを使っていたが、ついに読むのが追いつかなくなってきた。実はGoogle Readerをしばらく前に登録してあったのだが、だいぶ長い間開いていないので数千件が溜まっているはず。整理がおっくうで開かないでいるとますます溜まっていくという悪循環状態。まあ、いい、片っ端から既読にすればいい、とやっと重い腰を上げてGoogle Readerを開く。

と、これが圧倒的に効率的。Gmailで見慣れたスレッド形式の表示で、一画面に50件以上のタイトルと本文冒頭が表示される。いちいち選択して既読化なくても、「全部既読にする」ボタンがある。さらに既読にしても表示が消えず、ただボールド表示が普通表示になるだけなのも便利だ。

2千数百件の記事を30分ほどあっさりさばけた。

Bloglinesの「ブログで公開」に相当するソーシャル機能としては「共有」ボタンがある。クリックするとその記事がユーザーの専用のページに送り込まれる。共有するためにはURLをメールで送るか、ブログなどで公開すればよい。

機能としてはBloglinesのほうがややきめ細かいコントロールができる。しかしRSSフィードの存在理由は「短時間に大量の情報を定期的にチェックできる」ことにある。その面ではGoogle Readerの処理効率はBloglinesの4〜5倍はある。ここまで差があっては多少の機能の優位性ではとうていカバーできない。

しかも他のリーダーから乗り換える手続きが簡単。インポート・メニューで他のフィーダーからエクスポートしたOPMLファイルを指定してボタンを押すだけでいい。

検索はもちろん、メール、カレンダー、ドキュメントと、こう何もかもGoogleだよりというのは精神衛生上あまりよろしくない。しかし背に腹は変えられず。

2007年10月19日

ピストルというのは当たらないものだというビデオ

ニュージャージー州の刑務官が(たぶん自宅の)ベンチでガールフレンドどくつろいでいると見知らぬ男がいきなりジャージーの下からピストルを抜いて発砲してきた。弾は当たらず刑務官は自分の銃を抜いて反撃、3発撃って2発を命中させ犯人は死亡。Good job!

しかし。いろいろな教訓が得られるビデオではある。

・プロは24/7つねに銃を身に着けていなくてはいけない。
・撃ち返せば敵は逃げる
・銃は使うときにはつねに0.1秒を争う。ファーストドローの技術が生死を分ける。
・至近距離から発砲しても十分な訓練をつんでいなければヒトに当てるのは難しい

ASK動画からのエンベッドでした。

2007年10月15日

nComputing(代理店:ファイアサイド)のシンクライアントに注目

シンクライアントというのは「ユーザーが使うクライアント端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をサーバー側に集中させたシステムアーキテクチャ」(Wikipedia)だ。

このうち、クライアント側では画面の描画とユーザー入力の処理をするだけで一切の処理をサーバ側で行うアーキテクチャをウルトラシンクライアントと呼ぶことがある。

PCによるLANに比べて、OS、アプリケーションのアップデートを含めてシステムメンテナンス一切をサーバ側だけで実行できるので、管理のコストがきわめて少なくてすむ。当然セキュリティー的にもメリットが多い。

現在代表的なウルトラシンクライアント製品はSUMマイコロシステムズのSUN Rayだが、こちらはクライアントのハードウェアが単体で6万円と低価格PCなみの値段で、サーバにはSPARCステーションが必要と、かなり敷居が高い。

ここでカリフォルニアのスタートアップ、nComputingのウルトラシンクライアントが注目を集めている。クラスタタイプのXシリーズは、1枚のPCIカードに3台のXクライアントが接続でき、1台のサーバPCに2枚のPCIカードが装着できる。つまり1台のPCを最大7席でシェアできる。このPCはWindows XP Proが動けばなんでもよい。

またLANタイプのモデルLシリーズも用意されており、こちらは1台のPCに最大30台まで接続できる。これもホストは普通のWindows PCでよい。(図参照)

cap_fireside_x_cluster_w400.jpg

Xクライアントはすでに50万台の販売実績をあげている。マケドニア政府が学校用に18万台を大量購入したのがシリコンバレーで大いに話題になった。

マケドニアのような貧乏国で導入できたのは、なんといってもコストパフォーマンスだ。ディスクレスなのはもちろんだが、CPUもないので消費電力が少ない。サーバからの供給で電源をまかなえるので、独立の電源も必要ない。

日本ではファイアサイドマーケティングからPCIカード1枚にXクライアント3台のセットで34,800円で提供されている。単純計算で1席あたり1万1600円とたいへん経済的だ。(これに別途モニタ、キーボード、マウスが必要になる。)

nComputing_X_01_w400.jpg

創立まもないスタートアップによくそれだけの大量生産ができたものと思ってちょっと調べてみると、nComputingの創立チームはエントリーモデルのPCメーカー、eMachines(現Gateway傘下)の創立メンバーということで、なるほどハードウェアの生産には十分な経験があるわけだ。(筆者が今この記事を書いているデスクトップ機がたまたまeMachines)。

しかしウルトラシンクライアントのメリットは導入価格そのものもさることながら、むしろその後のメンテナンスのコストが低いことにあると思う。PCをLANでつないだ場合はすべてのマシンでOSと各種アプリケーションのアップデートや修復、ウィルスチェックなどのメンテナンスを行なわねばならない。

仮に1台に毎週30分かかるとすると30台では1月に60時間となり、各種の省力化ツールを利用するにしても、なかなか片手間で対応できる仕事量ではない。Xシリーズを利用した場合は単純に作業量が最高7分の1に減る。30席を管理する手間が月10時間以下となるわけだ。またクライアント側にハードディスクはもちろんOSイメージさえ置かれないのでセキュリティー管理もはるかに容易になる。

マケドニアの例を見るまでもなく、学校を始め、カルチャー教室、塾、企業の研修など教室的な場所に好適なソルーションだが、それに止まらず、小企業、ホームオフィス、自治体や病院の待合室など、さまざまな場所で使われてよさそうに思う。

ただ、シンクライアントというコンセプトがまだ先端的な企業を除いてまだ一般に浸透していないのがネックだ。ニワトリとタマゴの話になるが、日本でもどこか目立つ場所で大量採用されると一気に広がるのではないだろうか。

ファイアサイドマーケティング株式会社

2007年10月05日

近況報告

柄にもなく、8月末から何かといそがしく、気がつけば夏休みの日記状態。

とりあえず主要事項をまとめて近況報告。

8/28(火) 知的コンテンツ・シンポジウム・知の構造化を目指して
(幕張高度ポリテクセンター)
主催 CEO協議会(理事長 綾日天彦)
『グーテンベルグ以来の革命が進行中』

綾先生は三井造船OBで東大船舶工学人脈の重鎮。ソフトウェアの生産性向上を目指してさまざまな活動を精力的にされている。今回はメディア論の観点からウェブのソーシャル化現象について私見を述べさせていただいた。幕張の「セカンドライフ」ぶりに改めて気付く。地図で見ると駅から一区画とちょっとなのだが、そのブロックがアメリカなみに大きい。

8/29(水) 中央大学公開講座・情報セキュリティー人材育成
(後楽園キャンパス)
主催・中央大学 研究開発機構
『ソーシャルウェブ:新世代インターネットの概観と社会的なリスクマネジメントへのヒント』

こちらも参加者は主として技術系の皆さん。ソーシャル・ウェブについて概観した後、各種ネット「炎上」事件の実例をあげて「社会的リスク」について解説。半分漫談。けっこう笑いをとったから成功か。

この日は幻冬舎の編集者Kさんと某プロジェクトについて打ち合わせ、つづいて糸井重里事務所の若手O君、Hさんと飲み会、と大忙し。敏腕編集者O君が元宝島なのさもありなんだが、Hさんは元吉本興業というちょっと変わりだね。話がおもしろく、最終に危うく間に合う。

9/15〜9/20 TechCrunch40取材のためサンフランシスコ出張
TechCrunch40というWeb2.0ベンチャー企業のプレゼン大会を技評の依頼で取材。

内容についてはリンク先を見ていただくとして、プレゼン20社、パネルディスかション4コマにパーティーを取材しながらリアルタイムで速報を入れる、というハードな日程が2日続いてさすがにぐったり。

いちばん壮観だったのはYahoo!の共同ファウンダー、デビッド・ファイロ、YouTubeの共同ファウンダー、チャド・ハーレー、最初のブラウザMosaicの開発者でNetscapeの元CTO、マーク・アンドリーセン、Googleへのベンチャー投資家、マイケル・モリッツというシリコンバレーのスーパースター4人が壇上に並んでのパネル。

tc40_filo_etc.jpg
左からファイロ、ハーレー、アンドリーセン、モリッツ

日本ではいちばん知られていないマイケル・モリッツでもGoogleの株式公開で3千億円の財産を作った。全員の資産は計算するのもばかばかしくなるが、軽く1兆円を超えているはず。

技評・滑川速報レポート

NBOnlineの市村佐登美氏のレポート

韓国からは2社も参加していたのに日本からは1社もなし。jig.jpの福原氏が2500ドルの高額チケットを買って来場していて、来年は参加したいと言っていたのが心強かった。それにしてもこれでは本当に「ガラパゴス鎖国」
状態だ。微力ながら、何かできないものかと考え中。

サイボウズの秋元氏、朝日新聞の桧山氏がそれぞれ速報取材レポートを書いているのであわせてご覧いただきたい。
未来のグーグル目指せ 米ウェブ業界がイベント(asahi.com)

サイボウズ・ラボ秋元裕樹氏の現地レポート(BroadbandWatch)

本家・TechCrunch日本語版、会場ライブブログ

10/2〜10/3 CEATEC取材、CrunchGear編集長をゴールデン街に案内
CEATEC 2007を文字通り駆け足で見て歩く。残念ながらコレだ!というようなインパクトのある出展なし。いずれも小改良の印象。わざわざアメリカから取材に来たJohn Biggsも同意見。

JohnはGizmodo(本家)を大ブログに育てた敏腕ブロガーだ。現在はTechCrunchの姉妹ブログCrunchGearの編集長。ハンサムでもの静かなニューヨーカー。初対面だが、共通の話題があると話が尽きない。

幕張ニューオータニに宿をとってしまったのが失敗でまわりに何もない、とこぼすので新宿ゴールデン街に案内。慶應の博士課程に在学中でベンチャーを準備中のドイツ人Totoさん、イタリア人ブロガー、技評の和田副編も合流して、フランス語のできる名物ママがやってるジュテという店へ。クェンティン・タランティーノのサインがあったりしてウケる。

記念写真をママに撮ってもらったのでJohnに送ったらCrunchGearにでかく載せてくれた。
Meet Umihiko Namekawa

Johnを幕張行き電車に乗せるのをTotoさんが引き受けてくれたのでなんとか最終に間に合う。帰宅後明け方までTechCrunchの翻訳。